臨床心理士の支援活動の特徴

臨床心理士が活躍できる、それぞれの職域にみる固有な心の支援活動があります。たとえばスクールカウンセラー、子育て支援、高齢者支援、犯罪被害者等支援などに専念する臨床心理士の支援活動があげられます。個人で開業している臨床心理士も徐々に増加傾向にあります。現代社会において臨床心理士は、さまざまな分野から期待されている職種なのです。

学校臨床心理士(スクールカウンセラー)
スクールカウンセラーは文部科学省が推進する事業で、平成7(1995)年から全国の公立中学校に配置されるようになりました。配属校数も平成7年当初は154校だったものが、平成20(2008)年からは全10,000校への配置を実現。派遣された臨床心理士も、当初の137名が、現在では約5,800名までになりました。さらに近年は、問題発生の低年齢化にともない、小学校への配置も順次進められています。

これらは国の事業として展開しているものですが、当協会独自に創立20周年記念事業として、私立学校に配属される学校臨床心理士の任用に関する支援事業が平成22(2010)年度から実施されています。

 子育て支援
進む核家族化、働く女性の増加など、さまざまな要素が絡み合い、家庭(家族)だけでの子育てが難しくなったとされる現代において、多くの職種の人々が子育て支援の活動を行っています。そうしたなか「臨床心理士」も、その能力を活かした活動を期待されている職種のひとつです。主な仕事の役割としては、「来談者と育児状況のアセスメント」「養育者への援助」「乳幼児への援助」「保育、保健、医療等、他職種への援助」などが挙げられます。

 高齢者支援
日本は1億2,000万の人口のうち2,000万人近くが75歳以上という高齢社会を迎えています。高齢社会においては、もちろん高齢者の方々への心のケアの重要性はもとより、その家族や関係者への心の支援活動も含め、臨床心理士の活躍する場が今後ますます求められています。

犯罪被害者等支援
犯罪被害者の支援に関わる臨床心理士は、被害者への直接の支援とともに、その被害者の周辺の人々に対するケアも求められます。「学校教育」「民間被害者支援センター」「警察」「児童福祉」「医療」「女性センター」など、幅広い領域、さらに幅広い世代への専門的な心のサポーターが期待されています。

私設臨床心理士
クライエントから相談料を直接得ることで職業的自立、つまり「私設心理相談所」を開設する臨床心理士も増加傾向にあります。いわゆる開業臨床心理士です。地域に根付き、多彩な相談に対応できることから、一般の方々が気軽に心の悩みを打ち明けられる貴重な心の専門的な支援の場として、今後もっとも期待される活動領域です。